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「国内森林資源を活用した成長戦略型バイオエコノミー推進の提言」の公表

2026年04月02日 お知らせ

 2022年、当会は「プラチナ森林産業イニシアティブ」を立ち上げ、2023 年に「ビジョン2050 日本が輝く、森林循環経済」を公表しました。その後、推進戦略や事業モデルの検討を進め、このたび、「国内森林資源を活用した成長戦略型バイオエコノミー推進の提言」を取りまとめました。
本提言は、燃料・化成品分野における国内資源活用のあり方を示すとともに、脱炭素化、産業競争力強化、経済・エネルギー安全保障を同時に実現するための成長戦略として位置づけるものです。



国内森林資源を活用した成長戦略型バイオエコノミー推進の提言
~輸入原油・ナフサ依存からの転換—森林資源が拓く国産燃料・化成品の時代~

1.提言の背景・目的
 我が国の燃料・化成品は、依然として化石資源への依存度が高く、カーボンニュートラル、サーキュラーエコノミー、エネルギー・経済安全保障の観点から、抜本的な構造転換が求められています。
 ホルムズ海峡を巡る情勢の緊迫化は、輸入原油・ナフサに依存する我が国の脆弱性を改めて浮き彫りにしました。供給不安や価格高騰は、燃料のみならず化学製品などに広く波及し、日本経済の基盤そのものを揺るがしかねません。こうしたリスクは一過性のものではなく、今後も繰り返されることが強く懸念されます。
 こうした状況を踏まえ、輸入資源に依存し続ける構造からの脱却が強く求められています。再生可能エネルギーの導入拡大に加え、燃料・化成品原料の国産化、すなわちバイオマス資源やリサイクル資源の活用を進め、輸入に依存しない資源循環型の産業構造を構築することが不可欠です。とりわけ、わが国が豊富に有する森林資源を活用した国産燃料・化成品の供給体制を確立することは、海外情勢に左右されない持続可能な産業基盤を築くとともに、脱炭素・地域経済の活性化にも直結します。
 本提言では、森林資源のフル活用によるバイオエコノミーの構築を通じて、輸入原油・ナフサに依存しない国産燃料・化成品供給体制を確立し、日本の新たな成長産業の創出を図ります。

2.ビジョン:森林循環経済の実現
 本イニシアティブでは、2050年に「日本が輝く、森林循環経済」の実現を目指します。
 具体的には、「石油化学からリサイクル&バイオマス化学への転換」「木造都市の展開(9階建て以下の建築物の木質・木造化)」「森林・林業の革新(儲かる林業)」により、木質原料の安定供給を支える供給網の構築を進め、森林資源を核とした循環型産業の構築を進めます。
 また、森林資源のフル活用により、約1億t-CO₂の削減、約4.7兆円の直接経済効果が見込まれ、我が国の脱炭素と経済成長の両立に大きく貢献します。臨海型モデルから地域分散型モデルへ展開し、全国規模での事業化・産業化を図ります。 

3.現状と課題
 燃料・化成品分野では、以下のような政策・市場の状況にあります。
• 車両燃料:E10(2030年)、E20(2040年)導入に向けた検討
• 航空燃料:SAF導入に向けた義務化・支援制度の検討
• 船舶燃料:国際的なGHG削減戦略の検討
• 化成品:リサイクルは進展する一方、バイオ化学導入は限定的
 一方で、国産バイオ燃料はコストが高く市場が未形成、需要創出・環境価値評価の仕組みが未整備といった課題が存在します。

4.提言の基本的考え方
 本提言では、バイオマス活用を単なる環境対策ではなく、「脱炭素・産業競争力・経済安全保障を同時に実現する基盤戦略」と位置付けます。 そのためには、国内生産及び国産資源の活用を前提とした市場設計、需要創出と価格設計の両立、投資誘導を可能とする制度整備が不可欠です。

5.提言の骨子
 燃料および化成品分野において、国内製造・国産資源の活用を軸とした初期市場を創出し、バイオ産業基盤を確立することが不可欠です。そのためには、上記現行政策の確実な実行を前提に、国産品の利用枠を確保する制度設計を講じ、官民の投資を促進することが求められます。
 まずは、規模が大きくサプライチェーンが比較的単純な燃料分野から導入を進めることで、早期の市場形成とコスト低減を図り、2050年に向けて化成品分野へと利用拡大を図ることが重要です。
 具体的には、自動車分野におけるE10制度の整備を契機として、国産バイオエタノールの生産基盤の確立と、豊富に存在する国内バイオマス資源、特に森林資源の活用を着実に推進すべきです。国内生産品の流通を強固なものとすることで、国産原料の活用が進展し、国内循環経済の確立、ひいては国際競争力の高い産業の創出につながります。



 

 

〇 プラチナ森林産業イニシアティブに関する詳細情報はこちらから

〇 これまでの関連公表
「ビジョン2050 日本が輝く、森林循環経済」
「ビジョン2050 日本が輝く、森林循環経済」-ビジョン実現に向けた推進戦略とロードマップ-
「ビジョン2050 日本が輝く、森林循環経済」の実現-森林資源フル活用事業モデルプラン・推進方策と提言-