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「ビジョン2050 日本が輝く、森林循環経済」の公表

2023年05月23日 お知らせ

 昨年当会が立ち上げた、「プラチナ森林産業イニシアティブ」の事業活動として、ビジョン 2050「日本が輝く、森林循環経済」を取りまとめましたので、公表します。
 本ビジョンは「石油資源からバイオマス化学への転換」、「木造都市(まちの木造化・木質化)の展開」、「需要の拡大を受けた森林・林業の革新」を柱として、現在の4倍の森林資源の活用、1割のCO2削減、4.7兆円の直接効果の実現を目指しています。

 また、本ビジョンを広く理解いただき、実現していくため、2023年6月14日(水)、プラチナシンポジウム(協賛:株式会社時事通信社、共催:公益社団法人化学工学会)を開催します。皆さまのご参加を心よりお待ちしております。

 URL:https://platinum-network.jp/2023/05/23/16/28/


◆「ビジョン2050 日本が輝く、森林循環経済」◆

1.石油化学からバイオマス化学への転換
 プラスチック等の化成品のリサイクルの徹底に加え、新規の製造は石油原料から木質系などバイオマス原料(バイオマス原油)から生産することを提案。これにより、2050年には新たに3,570 万m3/年の木質バイオマス需要が生まれます。

2.木造都市(まちの木造化・木質化)の展開
 木造都市では、2050 年までに9階建て以下の新規建築物をすべて木造化・木質化し、都市に「第二の森林」を形成することを提案します。木質バイオマス需要は、現在の3,650万m3/年から6,240万m3/年に増加し、2050 年までに都市に固定される炭素貯蔵量の累積は6億6,700万t-CO2となり、これは日本の森林(第一の森)の炭素固定量の約1割に相当するものです。

3.森林・林業の革新
 このような木材需要の拡大をトリガーとし、「森林・林業の革新」を進めます。
 林業経営の強化については、すでに複数の的確な対応策が提案されており、これらを着実に実行し、日本の豊かな森林資源を適切に管理・活用すれば、林地残材等も含め森林蓄積をフルに活用することによって現在の4倍の国産木質バイオマス供給が可能となります。

4.需要の増加は国産資源で供給可能
 バイオマス化学や木造都市の進展で木質バイオマス需要は大幅に拡大。さらにパルプ・紙用材や燃料材なども加えると、2050年時点の国内需要合計は1億4,500万m3/年程度となり、現在の約2倍に。
 一方で、2050 年には、人工林だけでも 1 億 4,000 万~1 億 7,900 万m3の供給が可能であり、需要を国内の森林資源でカバー可能。

5.約1割の CO2 を削減
 一連の取組により、2050年時点で、木造都市の展開で鉄やセメントの資源が木質資源に代替されることで1,000万t-CO2、化成品製造が原油由来のナフサから木質を含むバイオマス資源原料やリサイクルに置き換わることで9,000 万t-CO2、合計約1億tのCO2排出削減を見込みます。
 これは現在(2020 年)の日本の CO2排出量の約1割に相当するものです。
 また、森林によるCO2吸収量は、主伐・造林を現在の3倍のペースで実施しかつそのすべてを早生樹で再造林すれば、現在よりも約600 万 t-CO2増加します。

6.4.7 兆円の経済効果
 国内資源のフル活用とリサイクルの推進で、石油資源、木質資源、鉄などの輸入が減少することにより、3.6兆円分の資源輸入削減効果を見込み、輸入削減分は国内に投資されます。林業が活性化し、さらに森林資源から国産建材や国産ナフサが生産されることで、国内の林業や化学産業、建材・建設業等で輸入削減分と同等の3.6兆円の付加価値が生じます。
 また、従来の3倍のスピードで伐採・再造林を進めることに伴うスギ花粉対策の効果は極めて大きく、既往調査を踏まえれば1.1兆円程度の経済効果が生じます。
 合計すると2050 年時点で4.7兆円の直接的な経済効果(付加価値増)があると試算しました。

7.迅速に実行し、ムーブメントをつくり、世界にモデルを示す
 本ビジョンの実現に向け、民間企業には、本ビジョンで掲げる3つの戦略に関する主体的・積極的な取組を期待します。
 国民の皆様にも本ビジョンにご理解いただき、バイオマス資源由来製品の積極的利用とリサイクルの推進をお願いするものです。
 そして政府には、本ビジョンに基づく企業や国民の活動への支援を期待します。
 地球温暖化問題は人類全体の深刻な課題であり、日本が先陣を切って森林資源のフル活用を実践し、世界にそのモデルを示していく必要があります。