豊岡市

コウノトリが舞い降りる環境経済都市

学びのポイント
1. コウノトリ野性復帰プロジェクト
日本の自然界では絶滅したコウノトリを人工飼育し、34年ぶりに野性に復帰させた豊岡市の取り組みについて学べます。
2. コウノトリ育む農法
減農薬・無農薬でコメや大豆を育て、コウノトリの餌になるドジョウやカエルが田畑に生息できる環境を整える「コウノトリ育む農法」について学べます。
3. 環境経済事業
利益追求型事業を同市に誘致し、地元や地球規模の環境を改善する取り組みについて学べます。
4. 城崎国際アートセンター
バブル時代のハコモノを、「アート・イン・レジデンス」のコンセプトを軸に、国内外のアーティストが滞在しながら創作できる施設に転換。同市の発想の転換による事業について学べます。

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隅々まで手入れが行き届いた里山の上空を、幅2メートルにもなる大きな翼を広げ、コウノトリが旋回する。水田に舞い降りたかと思うと、その長く、太めのくちばしでドジョウやカエルを捕まえ、食欲旺盛に飲みこむ。

古くから「瑞鳥」(めでたい鳥)と呼ばれ、人里で人間と共生してきた野生のコウノトリは、1971年、最後の野生の一羽が兵庫県豊岡市で保護されたが死亡、日本の空からコウノトリは姿を消した。農薬使用など高度経済成長時代の環境破壊が、絶滅の主因とされている。全国各地で人々の暮らしの間近にいたコウノトリ――江戸期の掛け軸などにも描かれた日本の原風景は、永遠に失われたかのように思われた。

一度姿を消したコウノトリを34年ぶりに自然界に復活させたのが、「最後の生息地」であった豊岡だ。絶滅前から人工飼育に取り組み、1985年に旧ソ連ハバロフスクからコウノトリの幼鳥6羽を譲り受け、4年後に卵を孵化させることに成功した。その後、人工飼育で着実に数を増やし、2005年には、日本で初めて野生に復帰させた。

これまでに人工飼育した20数羽のコウノトリが放鳥され、野生で誕生した60羽以上を合わせ、約90羽(平成28年7月現在)が日本各地に生息している。中には、韓国に渡ったコウノトリもいる。