当会の活動

  1. ホーム
  2. 当会の活動
  3. シンポジウム
  4. 第10回 シンポジウム

シンポジウム

第10回 シンポジウム

開催日時
2017年2月24日(金)14:00(開場13:30)~17:30
開催場所
虎ノ門ヒルズフォーラム(東京都港区)>場所
テーマ・内容
地方創生 人とICTでつなぐ、オープンな地域経済
地方と大都市を結ぶ新たなネットワーク 取引チャンネルのイノベーションを興し、プラチナ社会を実現する道を探ります。

プログラム・パンフレット 

[PDF:1.63MB]

今回は「地方経済からよみがえる日本」と題して冨山和彦様に基調講演をいただきました。次に、地方と大市場をつなぐ、ベンチャー企業、大企業ならびに高知県の取組事例が紹介され、地域経済の将来に関して登壇者による活発な議論が行われました。最後に、会長小宮山宏が全体を総括し、地方創生における創造型需要実現の必要性を指摘、その鍵として、特に「人」の重要性に関する提言を行いました。

プログラム

ご登壇者のご紹介

[基調講演]

冨山 和彦 氏
株式会社経営共創基盤(IGPI) 代表取締役CEO
1960年生まれ、東京大学法学部卒業、スタンフォード大学経営学修士(MBA)、司法試験合格。
ボストンコ ンサルティンググループ、コーポレイトディレクション代表取締役を経て、2003年に株式会社産業再生機構設立時に参画しCOOに就任。解散後、IGPIを設立し現職。オムロン株式会社社外取締役、ぴあ株式会社 社外取締役、パナソニック株式会社社外取締役。
経済同友会副代表幹事。財務省財政制度等審議会委員、内閣官房まち・ひと・しごと創生会議有識者など多くの政府関連委員を務める。

[講演]

松田 雅也 氏
八面六臂株式会社 代表取締役
1980年生まれ大阪府出身。京都大学法学部卒業後、2004年4月UFJ銀行に入社。05年10月独立系ベンチャーキャピタル入社後、取締役パートナーを経て、07年5月、エナジーエージェント株式会社(現八面六臂株式会社)を設立し、代表取締役に就任。09年6月第2種通信事業(MVNO)を行うG-モバイル株式会社の取締役に就任し事業拡大に貢献。10年9月同社取締役を辞任し、11年4月より、「鮮魚×IT」をテーマにした八面六臂サービス™を開始。
*八面六臂株式会社
2007 年設立。水産物を中央卸売市場に加え、全国の産地市場や生産者からの独自仕入れを組み合わせ、飲食店へ供給するサービスを展開。多彩な商品ラインナップ、商品ごとの専任仕入れ担当者が毎日品質の管理を行うことで「安全・安心・安定」を顧客に提供。ユーザーは、16 時以降iPad やWEB で発注。商品は、首都圏は自社便、地方は宅配便により配送。2015 年より青果物も扱う。

前田 佳宏 氏
リンカーズ株式会社 代表取締役CEO
2000年大阪大学工学部卒業後、京セラ株式会社にて海外営業に従事。06年株式会社野村総合研究所コンサルティング事業本部にて製造業を中心に、営業・マーケティング戦略立案、事業戦略立案、欧米・アジア企業のM&A戦略立案・実行支援など、数多くのプロジェクトに参画。12年4月Distty株式会社(現リンカーズ株式会社)を設立し代表取締役CEOとなる。12年7月東北経済連合会 東経連ビジネスセンター マーケティング支援チームのナビゲーター就任、15年10月日経BP社「第14回日本イノベーター大賞」優秀賞を受賞。
*リンカーズ株式会社 (前田氏 プラチナ構想ネットワーク 特別会員)2013年に設立。
製造部品を発注する企業のニーズに応じて、全国 1,700 名のコーディネーター(目利き)が適切な中小零細サプライヤーを推薦する専門家提案型のメーカーマッチングサービスを提供。500以上の産業支援機関とも連携し、マッチングには専用のICT を駆使しつつ目利きが関与し、詳細なニーズとシーズを突合せ、成約率は90%に達している。

松﨑 哲士郎 氏
東日本旅客鉄道株式会社 執行役員 事業創造本部 副本部長
1958年生まれ、東京大学法学部卒業。82年日本国有鉄道入社。87年東日本旅客鉄道株式会社入社。2007年IT・Suica事業本部 電子マネー事業部長、08年6月広報部長、09年6月事業創造本部(株式会社JR東日本リテールネット 代表取締役専務)、12年6月執行役員横浜支社長、14年6月株式会社ジェイアール東日本物流 代表取締役社長、15年6月東日本旅客鉄道株式会社 執行役員 事業創造本部 沿線戦略・地域活性化部門長、16年6月より執行役員 事業創造本部副本部長を務める。
*東日本旅客鉄道株式会社 (プラチナ構想ネットワーク 法人会員)2009 年より、地域再発見のプロジェクトを展開。
地域連携で共に知恵を絞る共創戦略のもと、鉄道ネットワークの特性及び首都圏での販路を持つ優位性を活かし、地産商品の掘り起こし、伝統文化、祭り等観光資源を紹介・産直市の展開、伝統工芸品の発掘、農産加工商品の開発等により地方での新たな雇用創出や資源の活性化を目指す。2016 年地産商品の首都圏向け「おやつTIMES」が販売好調。

[パネルディスカッション]

尾﨑 正直 氏
高知県知事(プラチナ構想ネットワーク 自治体会員)
1967年高知県生まれ。1991年東京大学経済学部卒業。同年大蔵省(現財務省)入省。入省後、在インドネシア大使館一等書記官、財務省主計局司法・警察係主査、国土交通第一・二係主査、内閣官房副長官秘書官等を歴任。2007年より現職。内閣府「子ども・子育て会議」委員、全国知事会「次世代育成支援対策プロジェクトチーム」のリーダー等を務める。日経ビジネス「次代を創る100人」に選出(日経ビジネスNo.1822)。

牧野 義司 氏
経済ジャーナリスト メディアオフィス「時代刺激人」代表など(プラチナ構想ネットワーク 特別会員)
1968年早稲田大学大学院経済研究科卒業、毎日新聞東京本社入社。地方記者などを経て73年経済部記者、15年間の経済記者取材の後、88年毎日新聞を退社。同年ロイター通信日本法人ロイタージャパンに転職、現場記者として経済問題取材に携わる。2001年ロイター日本語サービス編集長に就任、02年末にロイタージャパンを退職し、フリーランスの経済ジャーナリストに。

講演内容の要約

◇冨山 和彦氏(株式会社経営共創基盤(IGPI)代表取締役CEO)
「地方経済からよみがえる日本」

ライフワークとして地方創生に取り組んでいる。特に縁があったのがバス会社の再建で、福島交通はその代表例だ。当初は厳しいリストラが必要だと考えたが、実は、最大の経営課題は運転手不足だった。人手が足りないから利便性が低下し、観光シーズンでも新規案件を受けられない。地域のバスを使うのは学生と高齢者で、彼らの行動にリーマンショックのような世界的な経済変動は影響しない。人口減少の問題はあるにしても、普段のバス利用は安定している。再建に必要なのはリストラではなく、人手不足の解消だったのだ。

地域経済の浮上に、バス会社のような地域密着の産業、農林水産業や小売業などの活性化が欠かせない。ただし、それら産業は労働生産性が低い傾向にあるので、ICTを活用した付加価値向上と効率化が必要。バスならば、ICカードの乗降履歴から運行ダイヤを見直したり、ドライブレコーダーからベテラン運転手のノウハウを抽出したりできる。ICTでの改善余地はグローバル企業ではあまりないが、ローカル企業には大いにある。

優秀な若者は都会に夢を抱いて上京するが、グローバル企業で働けるのは2割程度。大半は東京という名のローカル経済に属する。ローカル経済圏の給与は高くない。地方都市なら普通に暮らせても、物価が高い東京では厳しい生活にならざるを得ない。せっかく優秀な人材なのに、これで本当に幸せなのだろうか。日本中で大きなミスマッチが起きている。

◇松田 雅也氏(八面六臂株式会社代表取締役)
「各地域の市場や生産者と、一都三県のプロの料理人をつなぐ」

当社はプロの料理人向けのeコマース事業を展開している。食材のアスクルを目指し、酒1本でも配達するし、野菜も1パックから買えるようにした。主要マーケットは日本中の飲食店の40~50%が集積している一都三県。顧客のほとんどは中小規模の飲食店だ。

強みは他社のECサービスにはない「業務用生鮮商品」というジャンルに特化していること。各地域の市場や生産者と連携し、独自の物流網を構築しているので、佐世保産アカイサキや函館産マツカワカレイなど中央卸売市場では流通しにくい鮮魚も扱っている。生ものは保存が難しく、最終需要ロットが小さいため、このジャンルは大企業が参入しづらい。ベンチャーである我々は規模の追求ではなく、ITを活用して処理の早さで勝負する。今後はサービス提供エリアを広げて、ゆくゆくは海外にも進出したい。

◇前田 佳宏氏(リンカーズ株式会社代表取締役CEO)
「地域に精通した人々のネットワークでオープンイノベーションを支援」

会社設立当初はウェブ展示会eEXPOを設けて、技術情報等を登録してもらうことでマッチングが図れると考えたが、失敗に終わった。ウェブだけで完結できるほどオープンイノベーション支援は簡単ではない。2014年からは「ウェブ×人」をコンセプトにプラットフォームLinkersを立ち上げ、人を軸にしたマッチングにシフト。この転換が奏功した。

重要なのは技術探索の方法論だ。ハッカソンなどのアイデア募集型はうまくいっているが、要素技術や製品を、特定のスペックで実現できる外部パートナーを探すのは容易ではない。受注側の技術漏洩への懸念などが払しょくできず、マッチング成功率は数%未満にとどまっている。しかし、マッチングは確率論だ。成功率は広域化で確実にあがる。すでに、地方銀行や大学など、地元企業に精通した500機関、2000名以上のコーディネータを擁している。今後は地元コーディネータを軸に、網羅的なネットワーク構築を目指す。先程ICTでの改善余地はグローバル企業ではあまりないとの指摘があったが、実際は、改善機会は少なくない。

◇松﨑 哲史郎氏(東日本旅客鉄道株式会社執行役員事業創造本部副本部長)
「六次産業化を見据えた地域再発見プロジェクトの取組み」

2009年に開始した「地域再発見プロジェクト」では、地域と連携しながら一次産業、二次産業、三次産業をそれぞれ手掛けるとともに、六次産業化に向けたプロジェクトを推進している。一次産業としては太陽光利用型トマト栽培や農業特区を利用した酒米の栽培が、二次産業としては規格外のリンゴを活用したシードル工場などが挙げられる。三次産業はエキナカコンビニ「NewDays」などで地産品を販売することだ。

1年前に新ブランドとして地産品菓子「おやつTIMES」を開発した。地産品を首都圏で販売する際には「マーケティング力の不足」「高い物流費」「販路の確保」が課題になる。そこで専門の商品企画チームを結成、パッケージデザインなどにもこだわった。また、JR東日本グループ3社で地域活性化物流LLPを設立し、物流コスト低減を図っている。販路については当社グループに限らずマチナカの店舗にも働きかけた。一連の活動の結果、おやつTIMESはグッドデザイン賞やグリーン物流パートナーシップなどで表彰された。

◇尾﨑 正直氏(高知県知事)
「人口減少が進む課題先進県の高知が選んだ地産外商政策」

高知県は人口減少の最先端にいる、課題先進国ならぬ課題先進県だ。平成2年から人口は自然減に転じ、並行して経済も縮小。全国の有効求人倍率が上昇しても、高知県は無反応。経済が伸びても、人口は減り、人口減による経済縮減で倍率が変わらないのだ。そうしたなかで採った政策が「地産外商」。内にこもってもジリ貧は見えているので、いまある資産を生かして、外で商い、高知にとっての外貨を稼ごうという取り組みだ。

地産を強化するために、新しい技術の導入を推進している。高知県は下請け企業が多く、事業戦略の策定・実行が出来ていないことも多いので、その支援も行う。また、外商の強化のために、官民共同プラットフォームを作り、その利活用を推奨している。流通の新しい仕組みを構築することも重要だろう。そして、人材の確保が何より重要だ。担い手不足と後継者不足は深刻。新規事業を始めようにも人材が足りない。そこで地域産業や教育界と連携し、「土佐まるごとビジネスアカデミー」という学びの場を展開するほか、アイデアソンやハッカソンなどにも取り組んでいる。併せて、移住促進策も推進している。

これまでの経験から、産業振興計画の策定、実行にあたって3つのポイントがあると考えている。(1)好循環とネットワークの創出、(2)計画全体の進捗管理の徹底、(3)官民共同、市町村政との連携強調だ。なかでも(1)が重要だと思っている。地産したものを外商し、市場の反応を受けて拡大再生産に至り、また地産、というループを実現したい。

◇パネルディスカッション

Q:企業は地域経済をどう考えているか
松田:当社は飲食店へのラストワンマイルの物流ができるし、決済ソリューションもある。そのあたりは我々に任せて、地域の方々にはいいものを作ってもらいたいと思っている。 前田:地方のハブ企業を探している。技術に通じた企業が受注し、そこから二次発注、三次発注に広がる可能性があるし、異業種とのマッチングも進むかもしれない。実際、自動車のガラスの曇り防止技術を探した結果、最終的には自動車産業ではなくメガネの加工メーカーが選ばれた。地域のハブ企業が新たな市場を開拓するような世界を創っていきたい。

Q:「つなぐ」という意味では鉄道産業にもっとできることがあるのでは
松崎:尾﨑知事のアグレッシブな話に刺激を受けた。是非いいものを作り、ICTで発信してほしい。そして現地に人が行くようになればいいと思うが、地方都市は空港や鉄道があっても、二次交通に課題を抱えている。路線バスだけでは厳しいし、観光タクシーも制約が多い。シェアタクシーのような、安い料金で乗れるものがあると良いかもしれない。

Q:地域経済を考えるうえでキーワードはやはりICTの活用か
尾﨑:高知も通販サイトは持っている。しかし、リンカーズで当初うまくいかなかった状況と同様、ICTで情報発信するだけでは結果は出ない。情報を更新するのも人なら、マッチングを図るのも人だ。ただし、生産性と付加価値を上げるうえで、ICTは劇的に効果を発揮すると期待している。高知は土地が狭く、農地を拡大できないので、オランダの環境統合技術を輸入し、高度なハウス栽培を試みている。生産面でのICTは有効だ。 前田:地銀はあまり表に出ていないが、実は年間5000件くらい、地域でマッチングを行っている。融資が先細るなか、マッチング手数料で収益を増やしたい考えだが、現状はすべてアナログで行っている。手法のICT化が重要だろう。

Q:移住促進について
松田:東京で分刻みの日々を過ごしていると、出張で地方に行くとホッとする。それなのに移住が進まないのは地方の良さを伝えられていないからではないか。 尾﨑:移住には2つのアプローチがある。1つはロハスで訴求する手法だが、雇用の心配が残る。もう1つは新規事業の担い手や後継者としてスカウトする手法。成功する保証はないが、地方はそういう人材にこそ東京から帰ってきてほしいと思っている。

◇小宮山 宏(プラチナ構想ネットワーク会長)

総 括

小宮山 宏(プラチナ構想ネットワーク会長)

最近、「ウーバリフィケーション」という言葉が出てきた。自動車に乗りたい人と乗せたい人をマッチングするサービス「Uber(ウーバー)」のようなモデルを指す言葉だ。Uberの登場でマッチングコストは極論するとゼロになったわけだが、今日はITだけでマッチングできるわけでもないことも明らかになった。

リンカーズはコーディネータ2000人が介するモデルに転換したことでうまくいったという話だ。ITはマストだが、大事なのは人だというのが興味深い。また、ITで雇用が減ると言う話はひとつもなかった。これはプラチナ構想ネットワークで提言している飽和型需要と創造型需要の話にも通じる。創造型需要は生活の質(QOL)をあげようとするほどに増えていくのだから、そこにビジネスチャンスがある。

八面六臂は地方の市場から鮮魚等を仕入れているが、地方では捨てるような雑魚が東京では高級魚になっているという。50年前の食は栄養補給が目的だったが、現代は美味しいモノを食べたいという世の中で、栄養よりも付加価値の方が大きくなっている。まさに創造型需要だ。また、JR東日本のような大企業も「つなぐ」に目を向けている。JR東日本の場合は人を運ぶことが主だが、人を運ぶ空きを利用して新しい物流を始めている。

創造型需要は伸びる市場だ。高知県は公社という、自らの商社を作り、伸ばしている。このような機能が日本各地に出来た場合、我々の試算では市場規模3兆円くらいを見込む。雇用は20万人くらいになるだろう。さらに、吉川洋先生はベストセラー『人口と日本経済』で、かつて日本が9.6%の成長率を誇っていたとき、生産年齢人口の増加率は1.3%に過ぎず、残りの8.3%はイノベーションだったと指摘している。これからの人口減少社会でもイノベーションを起こすことが重要で、それは創造型需要なのだということを肝に銘じたい。

本日の提言。カギはICT、人、物流の3つだ。ICTのコストはゼロに向かって漸近していく。物流はラストワンマイルに課題があり、イノベーションを必要としている。何より重要なのは人だ。キーパーソンをいかに見出し、つないでいくか。また、地域では労働力が不足している。雇用のマッチング、二拠点居住、アクティブシニアといったキーワードについても、議論すべき重要な課題になってきたと言える。

※参考資料 (「総括」小宮山会長説明資料より抜粋)

(画像クリックして拡大できます)

当会について
プラチナ構想ネットワークとは
設立のビジョン・発起人
会則・入会について
会長 小宮山INFORMATION
組織体制
組織体系図
幹事会
会員
当会の活動
当会の活動
プラチナ大賞
プラチナシティ認定制度
シンポジウム
プラチナ懇談会
プラチナイブニングセミナー
女性の活躍
スクール事業
プラチナ議員勉強会
プロジェクト
ワーキンググループ
プラチナ構想ハンドブック
メディア情報
プラチナ構想ネットワーク
プラチナ大賞
会長 小宮山宏関連
コミットメント
会長 小宮山宏の提言
プラチナ構想に関する提言
講演情報
お知らせ
NEWS & TOPICS
募集のお知らせ
関連のお知らせ
サイトのご利用について
お問い合わせ
サイトマップ
個人情報保護方針
このサイトについて
関連のリンク
小宮山VOICE
小宮山VOICE